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保育現場でもカスハラ対策が重要に こども家庭庁が示した現時点の対応と令和8年度以降の方針

保育現場でもカスハラ対策が重要に こども家庭庁が示した現時点の対応と令和8年度以降の方針

はじめに

保育現場でも、保護者対応を含むカスタマーハラスメント対策が重要なテーマになっています。こども家庭庁は令和8年3月25日付で、「保育現場におけるハラスメント対策について」と題する事務連絡を発出し、現時点で活用できる支援策と、令和8年度以降に予定している対応方針を整理しました。背景には、令和7年6月11日に公布された改正法により、令和8年10月1日から、カスタマーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上必要な措置を講じなければならないことがあります。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.1
この記事では、この事務連絡の内容をもとに、保育現場で何が求められているのか、自治体や保育施設は何を確認しておくべきかを整理します。

まず押さえたい事務連絡の位置づけ

今回の事務連絡は、地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的助言として発出されています。法令そのものではありませんが、保育現場におけるハラスメント対策を進めるうえで、自治体や関係機関が参照すべき方向性が示されたものです。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.1
また、各都道府県に対しては、管内の指定都市、中核市、児童相談所設置市を除く市町村(特別区を含む)への周知も求められています。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.1

現時点での対応:厚生労働省の指針を参照する

事務連絡では、まず厚生労働省が示している指針を参照するよう求めています。この指針では、職場における顧客等の言動に起因する問題について、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の考え方が示されています。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.2
保育施設においても、保護者対応を含めたハラスメント対策を進める際の基本的な考え方として、確認しておく必要があります。現時点では、保育分野独自の新たな制度がすぐに始まるというより、まずは既存の指針や支援策を活用しながら、現場の体制整備を進める段階といえます。

活用が促されている支援策

こども家庭庁は、保育現場におけるハラスメント対策に関して、既存の支援事業の活用を案内しています。主なものは次の3つです。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.2)(子ども・子育て支援等分科会 資料4-p.2

1. 保育士や保育事業者等への巡回支援事業

保育所等における保護者等への対外的な対応を援助する者による巡回支援の実施に係る費用の一部を補助する事業です。都道府県や市町村に対して、積極的に巡回支援の実施を検討するよう求めています。保護者対応に負担が集中しやすい現場では、外部支援を入れることで、現場職員の負担軽減につながる可能性があります。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.2)(保育士や保育事業者等への巡回支援事業-p.2

2. 保育士・保育の現場の魅力発信事業

保育士が抱える保育現場の悩み等を、保育所長経験者などの外部人材に相談しやすい環境を整えるための費用の一部を補助する事業です。事務連絡では、市町村において心理職や社労士等を配置し、人間関係や労働条件等に関する相談支援を行い、相談内容に応じて保育所等へ指導・助言を行う体制整備も考えられるとしています。
なお、この補助は令和8年度予算案では「保育人材等就職・交流支援事業」に移管される予定とされています。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.2)(子ども・子育て支援等分科会 資料4-p.2

3. 保育士・保育所支援センター設置運営事業

児童福祉法上に位置付けられた保育士・保育所支援センターについて、令和8年度から機能強化を進める方針が示されています。令和8年度予算案では、人事・労務管理等に関する専門性の高い資格を有する人材の配置に要する費用の一部を補助することとしており、都道府県、指定都市、中核市に対して、こうした支援の活用を積極的に検討するよう求めています。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.2)(子ども・子育て支援等分科会 資料4-p.2

保護者対応で参考にする資料

事務連絡では、厚生労働省の「保育所等における在園児の保護者への子育て支援」(令和5年3月)の44頁を紹介しています。そこには、「理不尽な要求等を繰り返す保護者への対応に関する留意点」が示されており、保育現場での対応の参考にするよう案内されています。(保育所等における在園児の保護者への子育て支援-p.44
保護者対応は、現場職員だけで抱え込まず、組織として対応方針を共有しておくことが重要です。相談先、記録の残し方、責任者の判断基準をあらかじめ整理しておくと、現場対応がぶれにくくなります。

令和8年度以降の対応方針

こども家庭庁は、令和8年度以降について、保育現場におけるハラスメント対策に係る課題の洗い出しを行うとしています。
そのうえで、先行する他分野の取組も参考にしながら、次の3点を作成・周知する予定です。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.3
  • 保育現場における労働者の就業環境保護に係るガイドライン
  • 管理者・職員向けの研修資材
  • 周知・啓発用配布資材
さらに、制度的な対応の在り方についても検討する方針が示されています。現時点では検討段階にとどまるため、法改正を含むかどうかを含め、今後の動向を注視する必要があります。(保育現場におけるハラスメント対策について-p.3

自治体・保育施設が今確認しておきたいこと

この事務連絡を踏まえると、自治体や保育施設では次の点を確認しておく必要があります。
  • 厚生労働省の指針を把握しているか
  • 保護者対応を含むハラスメント対策の方針を施設内で共有できているか
  • 相談窓口や担当者を明確にしているか
  • 記録様式や対応フローを整備できているか
  • 巡回支援事業や相談支援を活用できるか
  • 保育士・保育所支援センターの機能強化をどう活用するか
  • 令和8年度以降のガイドラインや研修資材に備えた整理ができているか
保育現場では、保護者対応、職員の相談体制、組織内での役割分担を含めて、ハラスメント対策を“現場任せ”にしないことが重要です。

まとめ

こども家庭庁の事務連絡は、保育現場におけるハラスメント対策を、現時点で活用できる支援策と令和8年度以降の対応方針の両面から整理したものです。
ポイントは、以下の3つです。
  • 令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント防止のため、事業主は雇用管理上必要な措置を講じる必要がある
  • 現時点では、厚生労働省の指針や各種支援事業を活用できる
  • 令和8年度以降は、ガイドライン、研修資材、啓発資材の整備が予定されている
保育現場におけるハラスメント対策は、今後さらに実務対応が求められるテーマです。自治体や施設運営者は、制度の動きを把握しながら、早めに相談体制や保護者対応のルールを整えておく必要があります。
参考資料:保育現場におけるハラスメント対策について

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